Waving House

なみなみの家

(c) Takumi Ota

  • 竣工年  :2010年
    設計   :flathouse
    所在地  :東京都
    敷地面積 :65.86m2
    建築面積 :21.81m2
    延床面積 :66.58m2
    木造地下1階
    地上2階建

    都内に住む老夫婦から建て替えの相談があった。
    今後の生活を考えると、マンションに引っ越した方が良いのではと進言させていただいたのだが、それでも、夫婦はこの小さな敷地とまわりの環境に愛着があり、どうしてもこの場所に住み続けたいと言う。しかし、今の家では階段が急であったり、お風呂が狭かったりと、この先も生活し続けるのは難しく、建て替えをすることになった。
    そこで、小さい敷地の上、建ぺい率 50% という厳しい条件の中でどのように建物のボリュームを削ると居心地の良い住まいになるかを検証した。その結果、円弧状にボリュームをカットするのが一番効率よく室内空間が確保できることが分かった。円弧状にボリュームカットしたあとは、おまけとして建物と道路の間に小さなポケットパークのようなスペースも残ることになった。このスペースは北側だが、柔らかい反射光が集まるのを期待して壁面緑化を施した。ここは老夫婦と隣家の方たちとのちょっとしたコミュニティスペースになればと思う。
    一方、内部空間では、老夫婦が快適に生活できるように階段は緩やかな傾斜にして、また、狭い空間を効率良く使用できるように、階段の踊り場を玄関のスペースと兼ねるようにした。そして、道路からのプライバシーと安全のために、道路側には開口部をほとんど設けず、その代わり、夫婦と仲の良い隣家の庭に向かって大きく開き、採光を確保している。
    小さいボリュームの中に3層とルーフテラスを計画したため、どうしても各階の天井高は低くなってしまいがちである。そこで、天井裏の構造と照明等の配線スペースを最小限に残し波状に天井をカットすることにした。そうすることで、天井が高くなるだけでなく、空間に「ゆらぎ」や「リズム」のような効果が生まれ、実際よりも空間が大きく感じられるようになる。3階からはルーフテラスにも上れるようになっており、マンションでは味わえない生活を今後も楽しんでいただけたらと期待している。