桃の節句
年が明けてもう2か月が経ちました。
あっという間の2か月でした。
今年は不況なので、のんびりした一年になるかと思ったら、それは大間違いで、どちらかというとバタバタしています。
それではこんな時期に設計事務所が忙しい原因はなんでしょうか?
おそらく、去年まで値下げしないでなんとか持ちこたえていた土地が、年が明けて「もうだめだ」ということで大幅に値下げしたことが原因ではないかと考えています。
土地が安くなったので、土地を物色している人が少なからずいらっしゃるのです。
これは、株が大幅に安くなったので、証券会社の口座を開く人が急増したのと同じ現象だと思われます。
土地がたくさん動けば、建築の計画が増えるわけですから、設計事務所が忙しいのは理に適っています。
梅の季節が過ぎ、ついに桃の節句が近付いてきました。
気が付いたら桜が咲いていた、なんてことがないようにしていきたいですね。
初詣
昨日、事務所のスタッフと一緒に初詣に参りました。
事務所に一番近い八幡宮に参ったのですが、なんと神社の敷地内に竪穴式住居が展示してありました。
改めて竪穴式住居を見るとボリュームの大部分が屋根であり、なかなか素敵な形態ですね。
縄文時代にはデザインなどという認識はなかったと思いますが、それ自体はバランスがとれたすばらしいデザインだと思います。
新年らしく、初心に戻る良い体験でした。
今年は初詣に出かけた人の数が、ここ数年で最も多かったそうです。
世の中の人々の心が急速にチェンジしている証拠ではないでしょうか?
それも良い方向に。
2009年(始まりの年)
皆様、新年明けましておめでとうございます。
晴天で静かなお正月を迎えられたことでしょうか。
フラットハウスの2009年は軽井沢の別荘、都内の集合住宅を初め、たくさんの物件が完成する年であります。
気を引き締めて、丑年らしく一歩一歩ゆっくりと力強く、前へ前へと進んで行きたいと考えています。
今年、建築は自動車と同様、革命が必要な年となるでしょう。
後に、すべての始まりは2009年からだったと思える年にしたいと思っています。
本年もフラットハウスを何卒宜しくお願い申し上げます。
デザインと投資
金融危機といわれていますが、全世界の建物のプロジェクトにも影響が広がりつつあります。
そのこととは少しずれたテーマですが、デザインと投資は似ているなあと私は思っています。
「人の行く裏に道あり、花の山」
人はどうしても人気があるものに目がいってしまいます。それは、デザインの世界も投資の世界でも同じではないでしょうか?
私は今っぽいデザインには未来は無いと考えています。
流行ではなく、本当にクライアント、社会、そして自分が目指すべき建築。
そのことをもっと深く考えて、仕事をしていこうと思っています。
デザインと音楽
小室氏が逮捕されたことにはびっくりしました。
以前、隈さんの事務所で愛知万博の計画をしていたときに、「万博のメインテーマの作曲家は誰がいい?」という話になりました。隈さんは坂本龍一さんがいいのではないかとおっしゃっていましたが、私は小室さんはと提案しました。そのとき隈さんが苦笑いをしたことを思い出しました。
音楽には曲と詩があります。建築でいえば構造と意匠でしょうか?
音楽の世界では、まず曲があってそれに作詞する場合もありますでしょうし、その逆もあると思いますが、一番興味あるのが、作詞と作曲がそれぞれ二人で同時進行でおこなわれる場合です。
必ずどちらかが最初のフレーズなり、さびの部分なりを作成すると思います。
そして、それに対してもう一人が応える。
この段階が一番興味があり、出会わしてみたいなあと思います。
たしか以前TVでスティービーワンダーの名曲が生まれる瞬間を放映していたような気がしますが、もう一度見てみたいですね。
建築でも名作が生まれる瞬間があります。
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ビオトープ
夏が終わり、秋深くなりつつある今日このごろです。
今年の夏は以前から興味のあったビオトープを自宅の庭に作りました。
といっても、40センチぐらいの睡蓮蜂に睡蓮、メダカ、ヌマエビ、ドジョウ、タニシを入れただけです。
基本的には世話はなにもしません。たまに餌をぱらぱら振りかけます。
現在では睡蓮に付いていたのかサカマキガイがどんどん増えてきています。
メダカはだんだん少なくなり、ヌマエビもドジョウも今はいるのかいないのか分からなくなりました。
夏の間にドンボが卵を産んでヤゴでも生まれないかなと期待をしていたのですが、そんなにうまくいかないのが自然というものです。
私は小さいころから、川や林の昆虫や魚が好きでした。そういう多様な生き物が織り成す生態系に親しみを感じていました。
とはいえ、ファーブル昆虫記を読んでも、あまり関心を持たなかったのも事実です。
どうやら、ファーブルのようにフンコロガシをじっと観察することには興味が持てなかったようです。
現在、私は建築の設計の仕事をしていますが、結局それは小さいころから親しみを感じている生態系のような環境を創ってみたいという欲求から始まったものだと感じています。
しかし、皮肉にも建築の建てるということは、自然を少なくして人工物を増やすことになります。
そのことはときどき悩みますが、なんとか建築を自然化していくことはできるのではないかと考えています。
一年前、壁も屋根も土で仕上げた建築を設計しましたが、もうしばらく経ったら屋根と壁から少しずつ草や花が発生してこないかなと密かな期待をしています。
自然を増やすための建築、建築の自然化、これからも何ができるか考えてみたいと思います。
flathouse sakano
夏
本当に久しぶりのブログです。
もう夏も折り返し地点を過ぎましたが、まずは初夏の報告からさせていただきます。
7月の初旬にあるクライアントさんに蛍がいるスポットを教えてもらい、蛍を見に行くことになりました。
今年になって3歳になる娘に、いろいろとこの世界の不思議を感じてもらおうと思い、今回もそのイベントの一つとして蛍を見に行くことになったのです。
夜8時半ごろ、蛍の飛ぶ川のふもとにたどり着きました。
寝ている娘をたたき起こし、なんとか蛍が飛んでいるところを一緒に見ることができましたが・・・。
思ったより、娘は驚きません。
というか、ほとんど、寝ぼけています。
私たちの他にも蛍見物の人たちが結構います。
蛍見学の人たちは、蛍単体に出会うことにも価値を感じていると思いますが、蛍が存在する環境そのものに出会うことにも大きな価値を感じているようです。
娘にはまだどちらの価値も分からないみたいでした。
まあ、それなりに楽しんでいたようですが・・・。
昔の人は、蛍の光を本を読むための道具としても価値があったのかもしれませんが、昔も今も蛍の光はそれ自体出会うことに価値があったのだと思います。
建築家のバーナード・チュミは、建築のことを(うらおぼえですが)こんなふうに言っています。
人が一本のマッチをなんの用途のためにではなく、ただ炎を見たいという快感だけのために擦るとしたら、その行為こそが建築である。
かっこいいですね。彼にとって建築とは、快感のためのイベントなのです。
夏になり、蛍や花火などのイベントが多くなると思い出す建築観です。
たしかに、蛍や花火を見ている人たちは本当に楽しそうですよね。
建築も、単なる用途、機能としての価値ではなく、それ自体の存在が価値となるべきだと感じた初夏でした。
flathouse sakano
紫陽花
もう6月も終わりですね。
私の事務所のポーチに咲いているアジサイもそろそろ終わりです。
アジサイは、その土のPH値によって色が変わるそうです。
酸性度が強いと青くなり、弱いとピンク色になります。
事務所のアジサイは青いので、おそらくその土の酸性度が強いのでしょう。
建築を設計するときに悩むのが色です。
恣意的に、「なんとなくそこの壁、赤にしようか」とはいきません。
建築は感覚的な芸術とは違うので、なにかを決定するときに論理的(または経済的)な帰結が必要なのです。
アジサイは取り合えず、色の決定要素が存在するところが、惹かれます。
私の家の玄関の前に咲いている、「すみだの花火」というアジサイも、かなり素敵ですね。
潮干狩り
先日、千葉の3番瀬海浜公園に潮干狩りに出かけました。
正確に言えば、出かけはしたものの、途中の渋滞に愕然となり、引き返した訳ですが。
なぜ、潮干狩りに出かけたかというと、3歳になる娘がとても貝が好きで、よく食べるのですが、実際に貝がどういうところに住んでいるのか、彼女が知らないということが、ずーっと気になっていたからです。
結局、渋滞で泣く泣く引き返したのですが、次の日の朝、改めて千葉の花の美術館に行きました。
幸いなことに、海岸はすいていました。
だめもとで、砂浜も掘っていたら、何個かは生きている貝を見つけることが、できました。
私は内心、ホッとしました。
ついに、娘は貝が海に住んでいることを知ることができたのです。
見つけた貝の中には、直径5センチほどの大きな巻貝もいました。
食べるつもりはなかったのですが、船橋に住んでいる、祖父と祖母に見せるため、持ち帰りました。
最終的には自分の家まで持ち帰り、しばらくバケツごと玄関先の小さな庭に置いて放っていました。
放っておいて2日目の朝、バケツの中に巻貝の姿はありませんでした。
私はてっきり、妻がごみと一緒に捨てたのかなと思っていました。
しかし、次の朝、妻の言葉には鳥肌がたちました。
「あの巻貝、突然消えたと思ったら、なんとお隣さんの室外機の近くにいたの! でも、もう死んでいて、蟻がたくさん集まっていたよ。」「なんか、かわいそうだったね。やっぱり、海に逃がしてくればよかったね。」
ショックでした。
巻貝が動いた距離は2M以上あります。人間だったらどれほどの距離に匹敵するのでしょうか?
室外機の音が波の音と感じたのでしょうか?
これまで、巻貝として直径5センチも成長するまでには、いろいろなピンチもあったと思います。その様々なピンチを、陸地を2M以上移動するほどのガッツで、または知恵で切り抜けてきたのでしょう。
しかし、今回ばかりは・・・無念だったに違いありません。
巻貝くん、本当にごめんなさい。
当初は娘に自然を教えるための潮干狩りでしたが、学ばなければならないのは自分でした。
不思議な診療所
とても不思議な診療所の改築を設計しています。
診療所は5階建てで、1階が診療所、その他の上階が住居となっています。
しかし、住んでいるのは診療所の先生のご家族だけではないのです。
そこに住まわれるのは、
・お医者さんのO先生とそのご家族
・鍼灸士のB先生とそのご家族
・診療所のインテリアコーディネーターのCおばあさん
一つ屋根の下に家族ではないけれども、家族のように住まわれています。
そして、みなさんが、ちゃんとそれぞれの役割と仕事が成立しており、さらには、相乗効果が生まれているのです。
そしてなんといっても、みんな本当に仲が良い。
社会学者の上野千鶴子さんが知ったら、とても興味を持つのではないでしょうか?
お医者さんのO先生の診療の方法も不思議です。
薬は基本的に漢方で、治療は整体や気功が主です。
そこのO先生の診療所には、他のお医者さんには治せなかった患者さんが地方から口コミでどんどん来ます。
そんな患者さんにとって大切なのは、メンタルな治療です。
だから、診療所の雰囲気はとても大切なのですね。
そこで、インテリアコーディネーターのCおばあさんの出番となります。
四季おりおりに合わせて、家具や置物で診療所の玄関やトイレの模様替えをしていくわけです。
今日は5月ということで、玄関にはなんと鯉のぼりとアトムの人形が飾ってありました。
この取り合わせには、私は心からすばらしいと思いました。
インスタレーションのような玄関です。
Cおばあさんの本業はアーティストで絵も描いて個展も開きます。
来ていた患者さんも、「来るたびに玄関の雰囲気が楽しく、最初はそれが楽しみでここに治療に来ていたんですよ」とおっしゃっていました。
このお言葉は、相乗効果の証拠ですね。
私にとっても、打ち合わせをする度に好きになる、とても不思議な診療所です。
